医学論文はこれまで、専門家には理解できても、一般の人々には難解な専門用語の羅列のようなものでした。正確さは重要ですが、過度な専門用語が壁となり、専門家以外の人々が健康情報を理解するのに苦労しているのが現状です。入院後、最も知りたいのは回復に必要な明確な指示なのに、退院時に手渡される説明書が専門用語の羅列で、まるで外国語のように感じられた経験はありませんか?
こうした医学知識と一般市民とのギャップを埋めるために導入されたのが、Plain Language Summary(PLS, わかりやすい言葉による要約)です。研究は理解されてこそ価値があるという考えのもと、U.S. Food and Drug Administration(FDA)やEuropean Medicines Agency(EMA)では、臨床試験や規制当局への提出資料にPLSを義務化しています (1,2)。その目的は? 研究成果をただ発表するだけでなく、実際に読まれ、活用されることです。
非英語圏の研究者を悩ますPLS
英語で論文を発表する非英語圏の研究者にとって、PLSは単なるトレンドではなく、必要不可欠なスキルになりつつあります。科学的な厳密さがあるだけでは不十分であり、研究成果は患者、政策立案者、そして専門外の医療従事者にも明確で、興味を引くものでなければなりません。
学術誌、研究助成機関、規制当局は「読みやすさ」を重視する傾向にあり、研究者は科学英語の精度を高めるだけでなく、複雑な研究結果をわかりやすく伝える能力や工夫も求められています。科学を単純化するのではなく、重要な発見が正しく伝わるようにすることが目的なのです。
PLSの実例
以下の標準的な臨床試験の要約を見てみましょう:
“This study evaluates the efficacy of a novel angiotensin receptor-neprilysin inhibitor in reducing cardiovascular morbidity and mortality in patients with chronic heart failure.”
この文章は技術的には正確ですが、専門家以外には要点がすぐに伝わらない可能性があります。一方、PLSでは次のようにまとめることができます:
“This study tests whether a new heart failure drug helps patients live longer and avoid hospital stays.”
どちらの表現も正しいですが、PLSを用いることで、患者、介護者、政策立案者が研究の目的を素早く理解できるのです (3)。
PLSに対応するためには
PLSを執筆するには、発想の転換が必要です:
- 明確さ – 簡潔に、かつ正確に伝える。
- 構成 – 重要なポイントをすぐに見つけられるようにする。
- 魅力的な表現 – 機械的な文章ではなく、自然な語り口で。
- 正確性 – 科学的な信頼性を損なわずに、理解しやすい表現にする。
PLSは、学者のためだけではなく「人々のため」に書くことが重要なのです。
EXCEL Editing がサポートします
PLSを効果的に作成するには練習が必要ですが、EXCEL Editingがそのプロセスをサポートします。私たちは、規制当局への提出資料の改善、PLSの作成、研究の読みやすさ向上をお手伝いし、研究成果が正確かつ明確に伝わるようにサポートします。
医学論文執筆は進化しています。適応する者が成功する時代です。EXCEL Editing とともに、次のステップへ進みましょう。
「Top Trends in Medical Writing」シリーズの次回もお楽しみに!
References
- U.S. Food and Drug Administration. Plain writing: It’s the law [Internet]. Silver Spring, MD: FDA; 2010 [updated 2023 Apr 6]. Available from: https://www.fda.gov/about-fda/plain-writing-its-law
- European Medicines Agency. Clinical trial regulation EU No 536/2014 [Internet]. Amsterdam: EMA; 2014. Available from: https://health.ec.europa.eu/system/files/2021-10/glsp_en_0.pdf
- Cochrane. Plain language summaries in Cochrane Reviews [Internet]. London: Cochrane; 2021. Available from: https://www.cochranelibrary.com/
