医療ライティングの世界では長らくインパクトファクターが研究の評価基準とされ、ジャーナルの格付けや研究者のキャリア、研究資金の決定に大きな影響を与えてきました。しかし、被引用数だけが研究の影響力を測る唯一の指標ではありません。今日のデジタル社会では、研究は学術界を超えた広範な議論を生み出すことが求められています。
そこで登場するのが、代替指標(Altmetrics:オルトメトリクス)です。これは従来の引用数にとらわれず、研究の影響力をより広範に評価するための指標です。インパクトファクターが学術論文の被引用回数を測るのに対し、Altmetricsはソーシャルメディアでのシェア数、ニュース報道、政策文書での引用、オンラインでの議論などを記録します[1]。これらの新たな指標は、「研究の影響力とは何か」を再定義しています。
では、あなたの研究は誰に読まれ、シェアされ、活用されているでしょうか?
英語を母語としない研究者にとっての重要性
英語で論文を発表する非英語圏の研究者にとって、従来の引用数だけでは研究の真の影響力を反映できない可能性があります。たとえば、ある研究が医療政策に影響を与えたり、大手メディアに取り上げられたり、ソーシャルメディアで議論を呼んだりしても、高インパクトジャーナルでの引用数は限られるかもしれません[2]。
こうした背景から、ジャーナルや研究助成機関、学術機関は「研究の影響力」の定義を拡張しつつあります[3]。もし研究がブログ、患者支援団体、政府の政策報告書などで引用されているなら、それも評価されるべきではないでしょうか? Altmetricsを活用して研究の影響力を可視化することで、より多くの人に届き、資金調達や学際的なコラボレーションの機会を広げることができます。
実例:影響力があるのは引用数?それともクリック数?
従来、研究の影響力は単純なものでした。引用数が多い=影響力が大きいという考え方です。しかし、現代では研究がバズることも珍しくありません。次の2つの論文を比較してみましょう。
- 論文A:高インパクトジャーナルに掲載され、学術論文で多く引用される。基礎研究を強化し、学術会議でも議論され、将来の研究の礎となるような内容。
- 論文B:オープンアクセスジャーナルに掲載され、引用数は少ないが、Twitterで拡散され、大手メディアに取り上げられ、さらに公衆衛生政策の参考資料として引用される。
どちらの論文がより影響力があるのでしょうか?
答えは「どちらも重要」であり、どちらか一方だけでは測れないのです。
論文Aは学術的な信頼性を築き、今後の研究の基盤を作ります。一方で、論文Bはより広い層に届き、アクセスしやすくなり、実社会への応用が期待されます。
Altmetricsは、これら2つの影響力の橋渡しをするツールです。引用数だけでなく、研究がどのように活用され、人々を動かしているのかを測ることで、研究の真の影響力を明らかにします。
EXCEL Editingのサポート
EXCEL Editingでは、研究者が進化する研究評価の環境に適応できるようサポートしています。Plain-Language Summary(PLS、わかりやすい研究概要)の作成や戦略的な研究発信を通じて、研究成果が学術界だけでなく、一般社会にも届くよう支援します。Altmetricsを活用したアブストラクトの最適化や可視性向上により、研究者が引用数の枠を超えて実社会で影響を与えられるようサポートいたします。
医療ライティングは進化しています。適応できる者が成功する世界へ。
「Top Trends in Medical Writing」シリーズの次回記事もお楽しみに!
References
- Wolters Kluwer. Understanding the Altmetrics score and your research. Available from: https://www.wolterskluwer.com/en/expert-insights/understanding-the-altmetrics-score-and-your-research
- Karolinska Institutet. Altmetrics: Revealing the societal impact of research. Available from: https://staff.ki.se/tools-and-support/communication-tools-and-support/news-press-and-media/altmetrics-revealing-the-societal-impact-of-research
- Altmetric. Clinical guidelines: How Altmetric data helps. Available from: https://www.altmetric.com/about-us/our-data/clinical-guidelines/
